それが島んちゅーのたーからー♪と言う歌がありましたが、今回は組織の宝の話。
私の大好きな本、「危機管理のノウハウ」佐々淳行著からの紹介。
古い本ですが著者は警視庁、防衛庁を経て内閣安全保障室長を歴任された危機管理のプロ。
仲間と任務、どちらを選ぶ?
「総員戦闘配置に着け」の下、自分の持ち場を死守することの大切さを説いています。
組織体の構成員一人一人が、自分の任務を明確に承知していて、トップの采配を信頼し、それぞれの担当正面を愚直に守り抜いてこそ初めて、組織が組織としての力、すなわち単に個人が大勢集まっているだけの烏合の衆とは異なる組織集団の力がフルに発揮される。
危機管理のノウハウ 佐々淳行著
本の中のエピソードで1951年のトルーマン大統領暗殺未遂事件のシークレットサービスだったスタウト護衛官の逸話が出てきます。
当時、迎賓館の二階で休んでいたトルーマン大統領を暗殺者が襲撃。警察官、シークレットサービスと激しい銃撃戦となり、多くの警察官が血を流して倒れる凄惨な状況となりました。
そんな中、スタウト護衛官は応戦に階下へは行かず、軽機関銃を手にすると階段上の所定の位置に陣取り、階下へ狙いを定めたのです。
彼の特命は「何が起ころうと、第二警戒線配備の持ち場を死守せよ」でした。
それはまさに大統領防衛線の最後の砦を意味しました。
大統領側近の中には、仲間がやられている中、階下に応援に行かずに持ち場から離れないスタウト護衛官を腰抜け呼ばわりする者もいたそうです。
最終的に警察官3人の犠牲のもと、暗殺者は射殺されて大統領は無事だったが、銃撃戦に参加しなかったスタウト護衛官の行動は議論の的になったとか。
しかし、ここで上司のシークレットサービス長官は、自分の評判を貶めても、持ち場を死守した彼の愚直さを褒めたたえたのです。
スタウト護衛官の任務に対する責任感もすごいですが、彼を擁護し褒めたたえた上司もカッコイイ。
身近にいる宝物たち
この話を読んで思い出したのが私の職場にいるN君。
私は東南アジア某国の工場で管理職の立場にいました。
現地スタッフのN君はどちらかというと不器用で地味な存在。
頭も決して切れるタイプではなかったんだけど、見直したのがコロナによるロックダウンの時。
操業時に突然工場閉鎖させられ、従業員は隔離のため工場で2週間寝泊まりすることに。
家に帰れず、家族に会えず、地べたで寝る生活は多くの従業員を疲弊させました。
そんな中でも工場内で感染が広がるのを避けるため、スタッフには消毒、換気、見回りなど持ち場を決めました。
N君の持ち場は数か所あるドアやシャッターを決まった時間に開閉する換気する係。
日本の真夏のように非常に暑いので、開け放しにするわけにはいかず、エアコンをかけながらの時間指定の換気でした。
工場内の隔離生活も終盤には従業員のストレスもマックスに達していましたが、彼はマイペースで換気係に取り組んでいました。
2週間後に、なんとか保健省の許可が下りて、晴れて従業員は家に帰れることに。
皆、歓喜で沸き涙ぐむものもいました。
その日は土曜日だったのですが、そんな中、N君が放った言葉に驚きました。
「明日、日曜出勤させてもらえますか。月曜日からの操業再開に向けて換気時間のポスター作成が終わっていなんです。」
私はこれは却下して家で休ませたのですが、愚直者は組織の宝物を心から実感しました。
会社の歯車とか揶揄する言葉もあるけど、誰もが組織の中では歯車のひとつ。