次は何者になりますか? 新しいアイデンティティの勧め
早期退職や定年を迎え、長年背負ってきた「組織の看板」を下ろした時、私たちは一人の独立した個人に戻ります。
もちろん、自由な時間を満喫したり、趣味に没頭したりする生活も素晴らしいものです。
私自身、早期退職した当初は解放感を満喫していました。
しかし、いざ自由を手にしてみると、ふと「社会から必要とされていないのではないか」という、言いようのない居心地の悪さを感じました。
定年後に精神的にまいってしまう原因の一つは、このアイデンティティの喪失にあります。
今日は、定年後に楽しく生きるために、私が実感している「新しいアイデンティティ」を持つことの重要性についてお話しします。
「過去の栄光」という呪縛を手放す
会社員時代は、「〇〇会社の〇〇です」という肩書きが自分のアイデンティティそのものでした。
しかし、退職した瞬間にそれは失われます。
「元・〇〇会社の者です」と名乗れば、最初は周囲も「そうですか」と聞いてくれるかもしれません。
ですが、次第に相手も気に留めなくなりますし、何より自分自身が虚しさを感じてしまうものです。
「元・難関有名大学の〇〇大学の者です」
「元・〇〇界で神童と呼ばれた者です」
どんな輝かしい過去も、今の自分を支える栄養にはなっても居場所にはなってくれません。
大切なのは「昔、何者だったか」ではありません。
「今、あなたは何者なのか」ということです。
自分の中に一本の軸があるだけで、心は驚くほど落ち着きます。
名乗ることに遠慮はいりません。
文章が好きなら「ライター」、教えるのが得意なら「インストラクター」。
自ら名乗ったその瞬間、新しいアイデンティティに血が通い始めます。
「自称」から始まる、第2の現役人生
アイデンティティと言っても、そんなに大げさに考える必要はありません。
- 文章を書くのが得意なら、「私はライターです」
- スポーツを教えることが得意なら、「私はスポーツインストラクターです」
- 〇〇の創作が得意なら、「私は〇〇創作家です」
そう自ら名乗った瞬間から、新しいアイデンティティは生まれます。
お金が稼げるかどうかは二の次です。
趣味のレベルでも、自分が楽しければまったく問題ありません。
一方でさらに体系的に学び直すことで、「誰かのために役立てる仕事」へと昇華させることもできます。
私の家の近くには、70歳過ぎでテニスコーチをされている女性がいます。
さすがにフットワーク軽くとはいきませんが、球出しやアドバイスは体力をさほど必要としません。
若い方々に頼られ、健康を維持し、人との触れ合いを楽しみながら収入も得ている。
自分の特技を活かした、本当に素晴らしい仕事だなと感じます。
例えば「ゴルフの教え方」を極めてみる
もしあなたが長年ゴルフを愛し、その腕前を活かしたいと考えているなら、「PGAティーチングプロ」という道も、一つの魅力的な選択肢です。
現在、この資格は年齢(20歳以上)や性別を問わず、誰でも挑戦できるようになっています。 ただし、プロを名乗るための道のりは、決して楽なものではありません。
- 実技審査: まずは一定のスコア基準をクリアする実力が必要です。
- 筆記と面接: 技術だけでなく、知識と人間性も問われます。
- B級講習会: 合格後も、基本教本に基づいた厳しい講習と検定が待っています。
その厳しさを乗り越えるプロセスこそが、新しい自分を作る『修行』であり、最高に贅沢な時間になります。
趣味を資格によって「仕事」へと変えることができれば、報酬にも還元されます。
合格の暁にはPGA公式サイトの「会員検索」に掲載されるほか、会員向けの求人掲載情報へアクセスできるようになり、ゴルフ施設への就職や自身のスクールへの集客に役立ちます。
在職中から「次の自分」を模索しよう
私はスポーツは下手なので、インストラクターができるような方は本当に羨ましいです。
定年を迎えてから「どうしよう」と慌てるよりも、在職中から少しずつ自分の進むべき道を模索しておくのが理想的です。
ヒントは、子供の頃に好きだったことの中にあるかもしれません。
「自分自身の人生」を楽しくするには、意識的にあちこち自分の引き出しを開けてみるのがおすすめです。
組織の看板を下ろした後の人生を、より豊かで納得感のあるものにするために。
「意志あるところに道あり」
共にがんばりましょう。
店主 ・ 神西 仁
参考資料:
- 公益社団法人 日本プロゴルフ協会 HP



